WORKS

アマネクイン別府

ハブとなるビジネスホテル

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アマネクイン別府

ハブとなるビジネスホテル

アマネクイン別府築26年のビジネスホテルを,アマネク別府ゆらりの別館ホテルへ再生した計画.ホテル機能だけでなく,コワーキング,ライブラリーといった用途を付随させた.既存は閉鎖的なホテルだったが,一方で行き止まりのない路地のような街路を持つ,別府ならではの寛容な雰囲気を持っていた.この路地性がもたらす街へ駆り出す空気感や行為を受容する大らかさを建築内外に接続していくことがこの建築の主題と考えた.本館の敷地開発に伴い,接道を変更.本館に向き合うため,建物の裏だった部分にメインエントランスを設けた.低層部は慣習的なホテルのようにふるまわず,本館や周辺の公園,商店街に展開していくためのハブのような構成となった.本館と相互に影響しあうデザインを用いながらも,外皮や開口部はあくまでも周辺建築のような様相とした.誰でもアクセス可能な四面開口の構成や本館への抜けなど,元もとあったような動的構成としつつ,建築が本来持つポテンシャルを最大限活かしながら,周辺環境を空間に再編成することを目指した.

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別府は戦火を受けなかったこともあり戦前から続く看板建築や木造建築群が多数立ち並ぶレトロチックな怪しい雰囲気が漂う街でもある。 住民により増改築が繰り返される家々や暗渠化した水路沿いをなぞるように建つ建物、かつて栄えた花柳街の名残が残る通りなど、いくつかの要素がごった煮されているような、さながら闇鍋的な街でもある。

私達再生建築研究所が別府に滞在する中で見聞きしている様々な街の機微は、一見するとなんでもないものが多いだろう。 しかしそに確かにある、もしくはあった現象を記録するために”再生ジャーナル”の制作を行った。

別府の上と下という言葉がある。端的に言ってしまえば地域を二分する際に用いられる言葉であり、別府の上といったときに指し示されるのが山側で、下といった際に指し示されるのは海側である。

その線引きは大正12 年にできた日豊線が境とされ、北浜や浜脇などのエリアは一般的に庶民文化が栄える 下 であり、別府公園などがあるエリアは別荘地があった関係から 上 と呼ばれた。

地形に高低差がある場合、レベルが高いところに不動産的価値を見出すような土地認識は全国的にあるものだが、別府でもそのような土地の解像度が再確認できる。

街を歩いていると目に飛び込んでくる、一階の風景。

鉄骨を組みガレージ化する家や、元々ガレージだった部分を物置として使用するものなど、はたまたあけっぴろげな一階部分が洗濯物干しとなり道沿いから丸見えになるものまで、多種多様な使いこなしがある。

そのような状態が生み出す気持ちよさや居心地の良さなど確かに感じる別府の大らかさを、列挙することで新しい別府の見方ができるのではないだろうか。

ホテルで夕食を提供せず,地域の飲食店がこのホテルのレストランとなる仕組み「HEYAZUKE」を開発した.
一部の店舗はホテルのルームキーで決済でき,ホテルで支払うことができる.
約500人の宿泊者が地域に溢れ,利益を生み出すこととなる.

南北にホテルとしてのシンメトリーなエントランス軸を通すことで街の流れに位置することを意識しながら,駅と道路と公園を繋ぐ偶発的な東西の軸をつくった.

本館,別館(アマネクイン別府)共通のメインエントランスとして南側に引きを取り緑地を設けることで,ふたつのホテルの顔をつくりながら,街に開かれた建ち方とした.

裏の建物が解体され露わになった既存ファサード
厨房や倉庫等のバックスペースであった為、配管露出している。

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バックスペースに開口を開け、本館と繋がる表のエントランスに設えた。
本館から周辺の公園まで視線が抜ける計画としている。

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かつての温泉棟
解体して、本館との間を路地空間とした。

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ベンチやテーブルや鉄骨階段など、別府の街にありふれた要素や形態を統合し、階段という機能にデザインを転換している。

最低限の仕様変更を行い、本館との連携をつくる。

CREDIT
Anna Nagai| TOP,01-07,09
Untitled (The Resort Hotel in Beppu #106), 2021 © Gottingham Image courtesy of Amanek and Studio Xxingham, |08

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