社員インタビュー 「他社への共感性」の体現(相良 昂)

INTERVIEW / 2024.12.03

再生研スタッフを通して再生研の【行動指針】を紐解くインタビュー!

 

再生建築研究所は、「再生建築を文化にする社会のしくみをつくる」というミッションのもと、5つの行動指針を策定しています。

① 思考の独立性

② 他者への共感性

③ ジブンゴト化

④ 化学反応を起こす

⑤ ぶれない探求心

 

再生研スタッフはこうした行動指針をどう体現しているのか、「じぶん」を棚卸ししながら語ります。

 

2020年 東京理科大学工学部建築学科 卒業

2023年 東京大学大学院新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻 修了

同年 再生建築研究所 入社
新領域(新規事業推進)を担当。

 

 

今回の行動指針:他者への共感性

相手の意見や考え方に耳を傾け、尊重し、公平で偏りのないコミュニケーションを心がける

 

 

「つくることへの憧れ」

建築の原点

私が建築の仕事に携わりたいと思った原点は、いくつかあるのですが、3歳から習い事で通っていた工作教室の影響が一番大きいと思います。中学生になるまで9年間、毎週通っていました。粘土で造形をしたり、和紙でちぎり絵をつくったりと色々な素材をつかってものづくりを経験させてもらいました。お菓子の家づくりをしたのも良い思い出ですね。自由に発想して、アイデアをかたちにして、本当にバラエティに富んでいて楽しかった記憶があります。いつも時間を忘れて夢中になっていました。また、秘密基地を作ることも大好きでした。椅子と椅子の間に毛布を掛けて屋根にして、中にデスクライトを仕込んで部屋みたいにして。いろんなパターンを作っては潜り込んでいました。他には、幼少期に見ていた住宅を改修する某テレビ番組の影響も大きかったと思います。週末の夜はテレビにかじりついていました。匠の驚くようなアイデアと職人さんの技術で空間が生まれ変わる、あの緊張感がたまらなくて毎回ワクワクしていました。あんな風にものをつくれる人になりたいなと憧れていたのを大人になった今でも覚えています。

「図面」というものを知ったのは、私が小学校3年生の時でした。実家をつくることになり、建築関係の仕事ではないのですが、こだわりの強い父が居間で何度も間取りを描き直しているのを横で見ていたのも建築の道に進みたいと思ったきっかけの一つです。図面から実際の空間をイメージするのがとにかく楽しくて、当時は新聞に入っている賃貸物件のチラシを抜き取っては間取り図を眺めるのにハマっていましたね。

 

ものづくりと場づくり

そんなこともあり、進路は建築学科一択の中高時代でした。実際に建築をつくれる機会はなかったのですが、何かをつくりたい気持ちはいつもあって、文化祭を良い機会に、祭りを盛り上げるためのイベントとして3.6m四方の巨大なモザイクアートをつくることに仲間と奮闘したのも良い思い出です。

 

 

建築学科に進んだ後もワークショップに参加したり、学生チーム主導で企画したイベントで町の方たちと一緒にものづくりを通して交流を深めたりしていました。
ものづくりも大好きなのですが、それ以上にみんなで協力しあいながら一つのプロジェクトを実現するのが何よりも楽しくて、場をつくることが好きなんだと気づきました。一からつくることはわからないことが多く、先に進むのが大変だと感じることもありますが、チームで力を合わせるから前進できるし、そんな時こそ周りの意見を真摯に受け入れる姿勢が重要だと思っています。学生時代に経験したことが、自分のモットーになっています。

 

再生研にジョインした理由 -衝撃が走った神田錦町プロジェクト-

建築学科を卒業した後は大学院に進学し、都市計画分野の教授のもとで東京の街がどのように変化しているかを研究していたのですが、ある時アーキテクチャーフォト神田錦町のレポート記事を見たんです。「斬新な建築だな」と思ってクリックしたら、神田錦町のプロジェクトの前面の吹き抜けのところがハイライトされて、階段が通っている写真が載っていました。

 

神田錦町オフィスビル再生計画

 

 

都内にまだたくさん残っている古ビルがこうなるなんて、ものすごくかっこいい、と思いましたね。同時に、こういう建築との向き合い方は、自分が興味対象にしている都市の変化に対して、大きな影響を与える可能性を秘めているのではないかと感じてワクワクしました。卒業後に就職活動をするなかで、自分ができるようになりたいことは、建築を新築するよりも「いじる」ことなのではないだろうかと感じるようになっていました。建築家のもとで学びたいと思っていたところ、大学院でお世話になった尾﨑信氏が代表の神本さんを紹介してくださり、初めて再生研を訪問しました。
学生時代に、建物を設計するうえで環境と構造と意匠、それぞれが一体になって生まれた建築こそが良い建築だという話を聞いたことがあったのですが、再生研の事業紹介で100BANCHの紹介の時に、これだ!と思ったんです。3ヶ所のブレースを11ヶ所に分散するという明快なコンセプトが、その空間が持っている魅力を最大限に引き出していて、とても感銘を受けました。訪問初日にして既に、絶対に再生研で設計を学ばせていただきたいと確信しました。

 

 

「他者への共感性の視点」

 

再生研に入って変わったこと

再生研に入って、対話をより意識するようになりました。学生の時は自分の興味に専念・集中しすぎて、無理に自分の意見を通そうとする図々しさがあったなと思います。今でもそう思い当たる節はありますが、仕事をするなかで人それぞれの考え方や感じ方があるし、その中でどう折り合いをつけるのか、どうしたら相手に快く自分の考えを受け入れてもらえるかということを意識するようになりました。日常的な社内コミュニケーションも、自分の思ったことをそのままぶつけるのではなく、相手がどう受け取るかを考えて言葉選びをするように心がけています。ちょっと人間味が増したというか、元々ロボット感が強かったので(笑)

 

 

社会にない新しい選択肢をつくる -相良昂の役割-

一言で言うと、サイセイを広める仕事をさせてもらっていると感じています。すごく漠然とした言い方ですが、押し付けがましく行うのではなくて、再生行為が社会に対してどういう意義があるのかを一つ一つ言語化しながら伝える仕事をやらせてもらっていると思っています。
社内には、意匠、再生、品質という設計部門の3チームに加えて、新領域部門というのがあるのですが、私が所属するその部門では、設計の領域以外から再生建築にどう向き合うことできるのか、そのアイデアをどう新規事業にできるのかを試行錯誤しながら実践に繋げる検討をしたりしています。事業方針として、設計だけでなく、コンサル・ブランディング・研究の4つの軸を掲げて活動していて、まさにその軸を会社の体制としてより強固に確立するための戦略を考えています。
会社のミッションである「再生建築を文化にする」の実現のためには、建築プロジェクトの実績を増やすことと並行して、いかに社会に発信できるかも重要です。再生の効果を定量化する際に、どの観点から評価することが価値ある結果に繋がるのかを考えながら研究しています。

 

 

上司から見た相良昂

はじめは、彼はサイボーグっぽいと思っていたんですね。学業をすごく真面目にやってきたというのもあったんだろうし、きちんとしていますし。
ただ、割とポンコツなところもあります(笑)。あ、これ忘れてました!みたいな。彼のそういう人間味に気付かされる場面があって、「自分はまだ未熟なので分からないんですけど、何かこれやってやりたいっすね。」というようなことを結構言うんです。それってすごく面白いし、こういう場所で仕事する上で大事なことですよね。何かやってやる、という思いがある。意外と秘めていますよ。私服で出社していいと言っているのに毎日スーツで来るような人間味もすごいギャップだし、純粋に人として面白いです。
あと、彼はいろんなところに興味関心があって、自分の視野を広げようとするための弛みなき努力が見えます。都市系の出身で再生研に来てくれて、建築寄りのことにもどんどん理解を深めようとしている。今やっていることというのは、不動産の領域が大きくて、当然僕でも分からないこともあります。彼は建築のベースがそこまでめちゃくちゃ強くはないから、なおさら分からないと思うのですが、食らいついて何とかしようとしているところは、とても評価できると思っています。

 

 

これから挑戦したいこと

「再生建築を文化にする社会のしくみをつくる」、この途轍もない命題にどう向き合えばいいのでしょうか。入社直後は、途方に暮れることもありましたが、近視眼的にならずに、まずは建物を再生する取り組みをさまざまな業態の人たちと着実に進めていけたらと考えています。建設分野以外の人たちとも対話をして連携を図り、信頼関係を構築したうえで今ある建物をどのように次の時代に繋げていけるのか、そして建物をどのように大切に使っていけるのか、そういうことを大きなチームで議論しながら一歩ずつ前に進めていきたいです。それぞれの企業がフラットな関係で力を合わせて、課題に立ち向かう。そのムーブメントをつくることに挑戦したいですね。

思い入れはあるけど、もう古くなったし、どうしていいかわからないから取り壊す、という消極的な選択をするのではなく、その建物を残して次の世代へと想いを繋ぐことができる選択肢が社会にあれば、きっとオーナーさんにとっても建て替えがポジティブな選択肢になるのだと思います。同時に、残すこともよりポジティブに考えることができて、私たちの暮らしをより豊かにすることができると信じています。

 

 

 

 

スタッフとのオフ /  川遊び&藍染体験

 

 

RELATED

VIEW MORE