WORKS
COERU渋谷イースト
増築で余白を生み出す
WORKS
COERU渋谷イースト
増築で余白を生み出す
竣 工:
2024年10月
規 模:
地上6階 鉄骨造(増築棟) 鉄筋コンクリート造(既存棟)
延床面積:
697.30㎡
用 途:
店舗 事務所
築年数 :
1971年新築
構 造:
円酒構造設計(増築棟)イシクラカズヒロ構造アトリエ(既存棟)
設 備:
明野設備研究所
内装設計:
GOOD PLACE / CLOCK
内装デザイン:
CLOCK
東京都渋谷区に建つ築52年の小規模ビルの再生計画である。新築当時は共同住宅であったが、オフィスの需要増から10年前に用途変更がされて以降も竣工当時の間取りのまま、複数のスタートアップ企業が入居するオフィスとして利用されていた。しかしリノベーションでは耐震化や間取りの変更ができないため、渋谷近郊のオフィス需要を満たせなくなっていた。事業主である東急不動産は渋谷で多くの新築オフィスを展開している。その中で耐震化と専有面積の拡張、意匠や設備更新を行うことにより、新築に匹敵する価値を生み出すべく、本物件を取得した。
私たちは、バルコニー、スラブの解体などによる減量化を行い、バルコニーのあった部分に容積率を消化する4層の鉄骨造を増築した。専有面積を拡張させワンフロア化することで、建築全体に付加価値をもたらすことを試みた。
増築部により専有面積を拡張させ、減築により雑壁を撤去した既存建築と緩やかに繋ぐワンフロアとすることでオフィスとしての付加価値をもたらした。
既存建築は共同住宅という特性上、住宅スケールでつくられ,フロアの中心に柱が位置していた。増築部の柱は既存の柱と位置をずらすことで増築部と既存部がそれぞれが自立するような構成とし、既存部にインフラをまとめることで、執務空間に余白が生まれる計画とした。スケールの異なる既存部と増築部により生まれた緩やかな段差や空間内の柱が居場所の性質を変え、内装プランや什器の配置に寄与したセットアップオフィスとなった。
既存のバルコニーファサードを室内化したことで、新たな余白を持ったオフィスファサードに生まれ変わった。事業性を担保しながら、既存建築を読み解き、既存に影響された増築によって変わり続ける渋谷の風景において大規模開発とは違ったスケールの再生に繋がる。
狭小敷地の軽やかな増築
既存建築面積の3割増となる約40m2の増築を行う上で、鉄筋コンクリート造である既存に対する一体増築ではなく、別棟の鉄骨造での増築を行った。別棟を選択することで、既存の構造についての緩和を受け、経済性を確保できる。既存は旧耐震建築物のため補強を行う必要があったが、各部躯体の解体により補強量を減らし、空間内に影響を及ぼさない柱巻の補強方法を採用することで、増築部と既存部が連続する空間を生みだした。増築部の面積を最大限確保するため4階建てとしたが、そうすると搭状比が大きくなり、転倒モーメント、杭の引き抜きが大きくなる。そこで鋼管杭を採用し、狭小敷地に対応する4本柱とし、最低限且つシンプルな構造とした。また両脇を3m片持ちとすることで、新規柱(杭)は敷地出隅と既存柱と干渉しない平面配置となり、既存フーチングや隣地境界線との離隔距離を確保し、施工性に配慮する構造とした。鉄骨造ならではの軽快なファサードや開放性、採光の獲得が可能となった。
CREDIT
TOP ,01 – 03 撮影|楠瀬友将