WORKS

(仮称)旧エルザ

地域と観光を繋ぐ

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(仮称)旧エルザ

地域と観光を繋ぐ

事業者が購入した築80年超の木造建築を段階的に再生する計画.既存は商店街にあり,別府の木造建築に多く見られる連れ込み宿を何度も増改築した2軒続きの店舗建築だった.1期はホテルの開業準備室として耐震補強と最低限の内外装改修工事を行い,2期では地域のギャラリーとして利用.今後,3期として飲食テナントの誘致を行う.既存は過剰に帳壁を有し,耐風圧性を鑑みると補強が多く必要であったため,1期工事では外壁,床を減築し,補強箇所を大幅に減らしつつ,表通りから裏の邸宅の庭へと繋がる1階の大部分を半外部空間とした.将来計画のための余白でありながら,周辺の風通しにも寄与する.補強要素の耐震壁や筋交いは,将来計画のプランやアクティビティを想定し,空間における印象や家具の下地となることも鑑みて配置を行った.酒スタンドやチャレンジショップといった,地域と観光を繋ぐ用途が想定されており,今後より人が行き交う場所になることが期待される.

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別府は戦火を受けなかったこともあり戦前から続く看板建築や木造建築群が多数立ち並ぶレトロチックな怪しい雰囲気が漂う街でもある。
住民により増改築が繰り返される家々や暗渠化した水路沿いをなぞるように建つ建物、かつて栄えた花柳街の名残が残る通りなど、いくつかの要素がごった煮されているような、さながら闇鍋的な街でもある。

再生建築研究所が別府に滞在する中で見聞きしている様々な街の機微は、一見するとなんでもないものが多いだろう。
しかしそに確かにある、もしくはあった現象を記録するために”再生ジャーナル”の制作を行った。

別府の上と下という言葉がある。端的に言ってしまえば地域を二分する際に用いられる言葉であり、別府の上といったときに指し示されるのが山側で、下といった際に指し示されるのは海側である。
その線引きは大正12 年にできた日豊線が境とされ、北浜や浜脇などのエリアは一般的に庶民文化が栄える 下 であり、別府公園などがあるエリアは別荘地があった関係から 上 と呼ばれた。
地形に高低差がある場合、レベルが高いところに不動産的価値を見出すような土地認識は全国的にあるものだが、別府でもそのような土地の解像度が再確認できる。

街を歩いていると目に飛び込んでくる、一階の風景。
鉄骨を組みガレージ化する家や、元々ガレージだった部分を物置として使用するものなど、はたまたあけっぴろげな一階部分が洗濯物干しとなり道沿いから丸見えになるものまで、多種多様な使いこなしがある。
そのような状態が生み出す気持ちよさや居心地の良さなど確かに感じる別府の大らかさを、列挙することで新しい別府の見方ができるのではないだろうか。

プロジェクト周辺建物のスケール調査や既存建物の部材調査を行う

既存外観 2軒続きで別府特有のアドホックな商店建築

解体と合わせて既存建築の調査を行う 雨漏りや蟻害による躯体の劣化が激しいことが分かる

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大幅な減築を行うことで、補強量を減らしつつ余剰の外部空間を生んだ
一期工事で行った耐震補強の要素である耐震壁や筋交いは、2 期のプランやアクティビティを想定し、空間における印象や家具の下地となることも鑑みて配置を行った。
また、基礎形状を一部肥大化させて家具のように振舞うことで、ただの構造要素ではなく、腰かけたり物を置いたりといった行為を誘うことを考えた。

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テナントが入るまでの期間、一部ギャラリーとして街に開放している

CREDIT
Anna Nagai|TOP.01-06
Untitled (The Resort Hotel in Beppu #139), 2021 © Gottingham
Image courtesy of Amanek and Studio Xxingham|07
Untitled (The Resort Hotel in Beppu #132), 2021 © Gottingham
Image courtesy of Amanek and Studio Xxingham|08

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