WORKS
東郷の杜 東郷記念館
循環の時代の技を地道に多様に適用することで、創造的な空間を実現する
WORKS
東郷の杜 東郷記念館
循環の時代の技を地道に多様に適用することで、創造的な空間を実現する
竣工:
2022年3月
規模:
RC造一部SRC造・鉄骨造、地下1階 地上4階 塔屋1階
延床面積:
4095.26㎡
用途:
神社(結婚式場)
築年数:
築45年
共同設計:
株式会社フジワラテッペイアーキテクツラボ
1940年に建立された東郷神社は、原宿駅近傍という都市域にありながら、池や樹齢数百年の木々を含んだ特別な杜(もり)を持ち、その風景的な骨格は明治期築造の池田侯爵邸の池泉式庭園を基盤としている。敷地内には12の建築物があり、それぞれの申請時と現況の状況を詳細に整理し、法規の改正履歴に対する既存不適格の調査や、施主側でも曖昧になっていた各建築の申請段階の経緯や許認可状況の過程を分析していった。
本計画は再生建築の場合でも新築と同じ性能を求められた。構造躯体の構造調査と耐震診断を行い,スケルトン解体した上での全箇所確認,前施工不備や経年劣化の補修・補強,独立柱への炭素繊維による補強など,リノベーションの質を長期的に支える地道な作業と技術の適用を設計施工共に徹底した.また既存躯体の中で,新しい空間ゾーニングや縦動線を実現させていくために,各階の吹き抜けの設置や,鉄筋コンクリート要素の鉄骨への置き換え,鉄骨屋根に架け直しなど,建築全体で大きく軽量化し,構造壁をバランスよく再配置した.神池側に耐震壁を出さないようアウトフレームの構造補強として活用した新設鉄骨バルコニーによる立面を実現した.
再生前の東郷記念館は1968年 に新築、1985年に増築された
大切に受け継がれてきた樹木。ビルと杜、境内と結婚式場が連なる風景。本殿は1963年に建てられた
新築で建て替えると建築規模が小さくなる。
再生することで既存の規模、そして風景の骨格を引き継ぐ。
敷地内の建物の法的な履歴、自然環境のリサーチ。
建物全体をスケルトン状態とし、既存躯体の補修・補強を行った。
神池に面したテラスを兼ねたアウトフレーム補強。道路側に耐震壁やブレースを設けることで、池側の補強を減らした。
誰でも利用できるカフェを併設した2階ロビーには、池に面したテラス席も。
増築部をつくることで2方向避難を確保。エレベーターも設置しバリアフリー動線も確保した。
ゲストとお給仕、表裏の両動線を兼ねた既存階段
新規吹抜けにより建物全体を軽くすることで耐震補強を行い、演出的な表動線を新設。
RC屋根が架かった天井高さの低い既存のバンケットとテラス
RCの屋根を解体し、鉄骨の大屋根を架けることで、建物重量を減らし、最大7mの天井高さを確保。
周囲の都市スケールと調和する大屋根
全体的に低い既存の天井
内装・設備の更新に合わせて設備機器と位置を更新し、メリハリのある天井高さとした。
結婚式場にふさわしいトイレ・パウダールームの計画。各階ごとにデザインが異なる。
東郷平八郎にちなんだ海をイメージしたカーペット(デザイン:6D)
多様な光の演出が東郷の杜一帯を柔らかく照らす。
CREDIT
小川重雄|TOP, 1-12